コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2012 01 03 天使の舞い降りるところ
もう20年以上昔のことだけれど、コモに住み始めるとこの地域がロマネスク建築の宝庫であることを知り、日曜にはよく不便なバスに乗ってロマネスクの教会を訪れた。数多い教会の中でも一番印象的だったのは、チバーテという村の上、山の上にあるサンピエトロアルモンテ、山のサンピエトロ教会だった。コモの街から30分ほどバスに揺られて、チバーテの村につくとそこから山道を小一時間もたどり、まだかなあ、と2,3回思ったころようやくサンピエトロ教会にたどり着く。切り開かれた山の斜面に立つサンピエトロ教会は、眼下にアンノーネ湖とその後ろにロンバルディア平原を見下ろす素晴らしい敷地に建っている。バシリカ形式にも関わらず、東西両端に内陣をもつ特異な平面計画もとても興味深いが、ロマネスク時代のフレスコ画が現在でもよく保存され、長い山道のあとで出会う色彩豊かな別世界には誰もが感銘する。この教会を管理するおじさんと言葉を2,3交わした。どこから来たのかという問いに、この教会に来た最初の日本人はきっと自分だろうと、得意になって日本人だと答えると、数年前に日本の女性研究者がここに来たことがあるという。まさか、こんなところで先生の足跡に出会うとは思ってもみなかった。
建築史を専攻していた学生の頃、文学部の美学の授業を聴講した。それは辻佐保子教授のキリスト教図象学だった。あまり熱心な学生では無かった自分は一体どんな講義だったのか思い出せないが、マリア信仰、マリアの図象の変遷に関して丹念にスライドを見ながら講義されていたのを思い出す。
辻先生は岩波書店から発行された「天使の舞い降りるところ」という本にチバーテのこのサンピエトロアルモンテ教会についてエッセイを書かれている。昨年くれにインタネットの新聞で先生の訃報が目に留まった。ご冥福をお祈りします。
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by kimiyasu-k | 2012-01-03 01:15 | Comments(0)