コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2013 01 21 小宇宙
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EPSON R-D1 + Voigtlander NOKTON 40mm F1.4
先に帰国した際に、同僚から数冊の文庫本を頂いた。(ありがとうございます。)その中に、奇跡のリンゴという、弘前でリンゴ農家を営む木村さんを紹介する一冊の本があった。何が凄いかと言えば、農薬などを使わない有機農法は知っていたけど、この木村さんの農法は農薬を使わないということではなく、リンゴ畑をひとつのいろんな生き物が住む「生態系」小さな自然の「小宇宙」とすることで、そこにリンゴの木も取り込んでいるという、革命的な農業であることだ。もちろんこの小宇宙は、とてもデリケートなバランスにのっているから、それを保つためには、毎年、その自然の状態に合わせた、「介入」が必要になってくる。この自然への介入こそが、「栽培」という考え方だ。
かなり昔、水族館の計画をしていて、水の沪過装置が問題になった。沪過と言えば、汚れたものを漉しとるフィルターとポンプというイメージがつきまとうが、その時、計画を進めていた水族館の方から、マングローブの林を屋上に作ったらどうかというアイデアが提出された。なるほど。確かに沪過というのは、魚が排出する窒素化合物を処理するということであり、それは植物が担うことができる。水槽の水をマングローブを栽培する水槽を通すことによって、自然の力による小宇宙を作り出すことができるはずだというものだ。結局このアイデアは実現しなかったし、今では水族館の沪過装置は、急速沪過という言ってみればマングローブの林とは正反対の技術的沪過がその主流になっているのだろう。幻冬社からでている「奇跡のリンゴ」、ここに辿り着くまでの木村さんの8年間に渡る戦いを、楽しく紹介するこの本はおすすめの一冊です。
それにしても日本ではリンゴが一個、200/300円するというのはどこかオカシイ。イタリアでは、1kg1ユーロ、一個20/30円。一応先進諸国に入っているイタリア、いくら物価が日本より少し安いとはいえ10倍の違いは、日本の農業、どこかが歪んでいる証拠だ。ちなみにお米もスパゲティも1キロ精々1ユーロ、100円程度。メロンも一個1ユーロ、100円。
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by kimiyasu-k | 2013-01-22 14:25 | Comments(0)