コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2013 11 15 「喜嶋先生の静かな世界」-森博嗣
ニッポンに行くと,22階の事務所で仕事をするのだけれど、そこから随分速いエレベーターで地下まで一気に降りると本屋があり,書棚を渡り歩いて時間つぶしをする。面白い本を見付けた。「喜嶋先生の静かな世界」-森博嗣。ほとんど自伝的な大学院の生活を描くこの小説が面白いのはある意味当たり前で,森さんは,大学院のおそらく同期生だから小説に描かれた世界は,当時の自分の生活そのものだ。登場人物も,大学や研究室の様子もみんな思い当たる。でも,そんな特殊な事情を差し引いても,やはりこの小説はかなり面白いと思う。誰か他の人が見つけた、築いた知識を習得するどこか窮屈な大学までの「勉強」とは全く異なり、大学院では自分で知識を創造して形にしていく「研究」が始まる。それはもう寝る時間も食事をする時間も惜しむほどの密度の高い、熱い世界なのだけれども、森さんはその世界を淡々と静かに描いて行く。つい読み手も一字づつ丁寧に淡々と読み進む事になる。そして読み終わってしまうのを惜しみつつ最後の一行が終われば,何か熱いものが自分の中に残っていることに気付く。本当は,「喜嶋先生の(一見)静かな世界」なのだ。
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EPSON R-D1 Voigtlander 40mm f1.4
tumblr
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by kimiyasu-k | 2013-11-16 05:16 | Comments(0)