コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2013 12 22 塔
恐らく1100年代の石のニッチだと思う。この部屋は1700年代に作られたが,このニッチの壁は厚さが1mもあり,資料によれば中世にはここには塔が建っていたという。トスカナのサンジミニアーノの林立する中世の塔は有名だけれども,ここコモでも中世には,貴族達が競って塔を立てたという。その塔を支えていたのがこのニッチのある壁で,アーチの積み方から見て,1100,1200年代というのが妥当な所だろう。
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こんな強固な元の建築空間を前にして,今の建築家にできることは何だろうかという,難問に立ち向かわなければならないという楽しみがイタリアにはある。ここで僅かにした介入は,天井画の縁となっている繰り型のペンキを剥がして,あまに油で仕上げた事,ニッチとその廻りの石積みの壁の切り取る位置を決める事,壁の仕上げをスツィッコにして,上部を二回塗りのつや消し,下部を三回塗り磨きを掛けた事,そして床のテラコッタを張り直し同じものを他の現場から手配した事。これ以上の介入は折角のオリジナルな空間特性を損なうという判断をしたからだ。いたずらな過去保存は博物館に任せれば良いし,悪戯な介入は,新築の家で実験すれば良い。古いものを残すというのは結局いつもこのせめぎ合いの試合をしているようなものだ。
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by kimiyasu-k | 2013-12-22 13:47 | Comments(2)
Commented by 高橋洋一郎 at 2014-01-12 11:04 x
これ いいな
石積みをあらわにしてる「開口」上辺がラインとなってコーナーまで延びるところ
引き戸との連関
隠される/隠すことへ喩的であること 見えないことが見えるところ
Commented by kimiyasu-k at 2014-01-18 07:16
確かに,隠すことによって現すってのは計画の手法になり得ますね.これ考えたときは,意識しなかったけど、こんどどこかで真面目に取り組んでみます.