コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2014 05 09  建築を見る
当時、カサデルファッショでテラーニはコンクリート造の躯体をどのように仕上げするかという課題に突き当たる.モルタル仕上げでは済まされないファッショ党の館として相応しい仕上げは何かと考えれば,それは当然「大理石」ということになる.様々な装飾の施されたそれまでの伝統的建築とは異なり,合理的な,近代的な、装飾を排した純粋形態の建物を大理石で仕上げることが容易では無い事に彼は気が付く.引っぱり力にも強いコンクリート造の特質を生かした細い柱や梁を覆う事はまだしも,ファサードの4層に立ち上がる巨大で平滑な面を大理石で実現することは、前代未聞の試みだった.白い石の選択には、おそらくボッティチーノ,ペルリーノが候補に上がったのだろう.コストの面から、またペルリーノが余りにデリケートな石であることからボッティチーノが選ばれる.ただし、ボッティチーノはフィオリートからクラッシコまで様々なグレードがあり、最高の板をこれだけの面積揃えることもとても難しいことだった.そして1枚3メートルx1.2メートルあまりもあるボッティチーノを、「確かな」ファサードにするためには厚さ5センチの板を使う必要があった.写真でみると壁裏側に使われている2センチ厚の薄い大理石とファサードの厚い大理石の違いがよく見て取れる.そして二枚の大理石がぶつかる出角処理の問題にも突き当たった.45度に角を落とし付合わせするのが最も美しい仕上げであることは分かっていてもテラーニはあえてそれを選ばなかった.建物が正直であること、誠実であることが、当時のファシスト党の理念であり、カサデルファッショはその理念の表現でなければならなかった.ファサードの厚い5センチの大理石板は、上下のかさなりで噛み合わせている.一見,単純な建築の中には,無数の工夫が潜んでいる.それが見えてくれば建築を観察することは、この上なく楽しい.
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EPSON R-D1 Voigtlander 40mm f1.4
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by kimiyasu-k | 2014-05-09 14:23 | Comments(0)