コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2014 10 20 昭和には茶店といい、イタリアではバルというカフェ
毎日のように前を通り、別に特別流行っているという訳では無い普通のカフェの、スチールサッシの緑色が改めて余りに奇麗な事に気づいた。
昔ながらの型鋼で作ったスチールサッシは、鉄板を曲げて作った中空の型押しスチールのサッシとは、一線を引く、無垢特有の存在感のあるものだ。こんなところにメンテナンスフリーだからとアルミの焼き付け塗装のサッシを使うなんてもってのほかだ。壁の色は、残念ながら化学系の塗料で出した物だけれども、ミラノの黄色と呼ばれる、スカラ座にも使われている黄色で緑色との相性が完璧だ。そのサッシ周りはこのあたりでは良く使われる俗称ベオラと言われるグレーの御影石をビシャン叩きで仕上げてあり、黄色と緑の間に中間色の額縁を作って開口を強調している。道路の縁石はこれも御影石で30センチ幅もあり、建物を際立たせる。道路の舗装は、コモの街は全てこのポルフィド石というトレントの近くで産出される御影より固い石で舗装されている。石畳だ。もちろんこのポルフィド石は、それ自体では魅力ある物だけれども、このコモという街にはそぐわない。なぜならこの地域で産出する石ではなく、かつてはコモ湖の街、モルトラージオという街で産出される濃いグレーの石が利用されていた。石の埋蔵虜がすでに底をついてしまい、とても街全体を舗装するほどの量が切り出せないため、大量生産においつくポルフィド石がイタリア全国で使われてしまっているのは少し残念だ。そしてカフェの主人が道に並べているテーブルと椅子の色、テーブルクロスの柄、色までが、それにマッチするようにコーディネートされている。
イタリアの街は、奇麗だと言われる。ただただ、自然に奇麗な街が出来てしまった訳では決して無い。役所も含め、専門家が、住民がかなり、労力とお金を、知恵をだしあって出来ている事に、なかなか気づかない。ここはデズニーランドでも、舞台の書き割りでもない、人が日常生活をする空間だ。
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EPSON R-D1 x NOKTON40mmF1.4
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by kimiyasu-k | 2014-10-21 01:17 | Comments(2)
Commented by msak@h5.dion.ne at 2014-10-23 11:20 x
なるほど、と思います。専門家であるはずの私達もうっかりすると流されてしまいます。
Commented by kimiyasu-k at 2014-10-25 02:45
何となく「きれい」ってのはつい見逃してしまうのですが、自分が計画するつもりで「分析的」に「きれい」をみていくと結構、いろんな要素が詰まっていることに気づいたりします。日本から帰国すると、つくづく街がきれいだとなあ、と思うのだけれど一体どこがそんなに違うのか、改めて考えてしまいます。