コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2015 02 10 山の教会
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庭の木に靴を高く吊るした一風変わった家族の住む村はずれ、遠くで犬がなく声を聞きながら、牧場の石の塀沿いに続く道をしばらく行くと、道は川に突き当たった。川原に下る道の先にはわずかに水が流れている。川面から頭を出した石を渡れば向こう岸にいける。一体この道であっているのだろうか、10年以上前に一度通ったはずの道は、こんなじゃなかったはずだけれどもと疑問が湧いてしまう。川を渡ると、続く道が薄い雪に覆われている。そういえばこの季節は、まだ雪が解けずに残っているのをすっかり忘れていた。普段履きの底の平らな靴を履いてきてしまったのは失敗だと思ったけれども今さら引き返す訳にはいかない。
しばらく歩くと、石の露出した深くえぐれたいかにも登山道というふみ跡に入りこんだ。そういえばこんな道だった,と昔の記憶がよみがえってくる。それでも、どこにも道しるべは無いし、また分かれ道がある。そんなときは、踏み跡のしっかりした道をたどることにする。
雑木の垣根と、腰までの高さの積み上げた石の塀に挟まれた細い石だらけの道をしばらく辿ると一軒の家にたどり着いた。そこを抜けると、この細い荒れた小道は、本当の登山道に突き当たる。ここには立派な道しるべも、マリアを祭った小さな祠もある。これで道が間違えていて登りなおしなんていう心配をする必要もない。下から4,5人のグループも登って来た。
確かにこの道は、山の教会へと登る道だ。玉石を使ってきれいに舗装されているし二人並んでゆったりあるけるほどの道幅もある。
河原の玉石で舗装した道は、日のあたらないところでは薄く雪に覆われていた。とても滑りやすい。こんな時は、ちょっと気を抜くと滑ってしまう。体の重さを靴底に均等にかけて、雪道をふんで行く。ちょっと勾配のきついところは、わざと足を滑らせるように踏み込み、滑らないことを確認しながら歩みを進めていく。
雑木林の中をしばらく歩くとぽっかりと抜けたような、真っ白に雪が覆う牧草地に出た。羊たちは里に下りてしまってどこにも姿は見当たらない。ウサギの足跡が、真っ白な雪の上に、一本の線を描いていた。そこには一軒の牧畜小屋があり、強い風に煽られた屋根の上の雪が飛び散る。
時々、まるで脅しのように吹く強い風の中、雪の上を慎重に、慎重に一歩一歩、歩みを進めていけば、尾根の取り付きにたどり着く。ここからぐっと傾斜はきつくなり、木々たちも背が高く、森の中へと足を踏み入れる。
つづら折れのちょっと本格的な山道を、登っていく。もうお昼を過ぎているので午前中に山の教会に訪れた人たちが時々、山を降りてくる。犬を連れたカップルが、こんちわっと声をかけて降りていく。みんな結構、本格的な山の格好をしているししっかりしたゴム底の靴を履いている。自分のような普段着の登山者は、かっこ悪い。昔よく、登山の最中に普通の運動靴で歩いているハイキング者を見て、心の中で「こんなところに、そんな格好で来るなよな」って思った事を思い出しながら。
目指す教会は,チバーテ村の上にあるサンピエトロアルモンテ。
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by kimiyasu-k | 2015-02-20 15:02 | Comments(2)
Commented by pipopapo-d at 2015-02-21 17:18
一度は雪のなかを苦労して登ってこの教会へ行ってみたいです。良い眺めですね。
Commented by kimiyasu-k at 2015-02-23 00:48
1000年前,いったいどうやって修道士達はここで祈りの生活を送っていたのかと思うような所です。教会堂内部には世界中のキリスト教図像学の研究者が必ず訪れる程素晴らしいフレスコ画も残されています。イタリアはローマやフィレンツェなど有名な観光名所だけでなく,このような歴史的遺構が無数に残されていてそれが地元の人の誇りになっているのは羨ましい限りです。