コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2015 11 09 解る
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EPSON R-D1x NOKTON40mmF1.4
まず目に飛び込むのは奇麗に磨かれた真鍮と陶器で出来た取手だ。取手は普通金属で作られるけれども手に触れる部分には優しい素材を使いたいということで、このような素材の組み合わせが生まれたのだろう。好き嫌いはあるにしても滑らかな曲線を巧みに組み合わせて抑揚を持たせ、機能性,製造上の合理性も加味して生まれたのがこの取手だ。でもこれはおそらく2,300年前にこのタイプの取手が生まれた当時のオリジナルのものではなくて、数十年前に近代的な工場で作られた比較的新しいものだろう。機能性のためか幾分,全体のプロポーションがぼってりとしていて、より実用的な,握り易い太さになっている。オリジナルなものならおそらくもっと細いプロポーションで出来ていたに違いない。この光り方を見るに毎日この取手は磨かれている。
そして次に気付くのは木綿のカーテンだ。典型的な1900年代の刺繍が施されている。あまり布に関心のない自分にはそれが手で作られたものか、機械でつくられたものかは解らない。でも木綿の品質を見るに,またそれが何度も何度も洗濯され漂白されたものであることを見るに,このカーテンが少なくとも数十年の年月が経ったもので、かなり大事に使われてきたものである事が解る。そう見れば確かにこの刺繍のデザインは1960年以前,おそらく1950年代のものに違いない。
そして、窓に目が行く。確かに白いペンキで塗られたのは最近の事だろう。でも、窓の部材が非常にシンプルな、どちらかと言えばかなり貧しい形状であることに気付く。普通ならこのようなクラシカルな空間には,奇麗なくり型の装飾の施された窓部材である筈なのにこの窓は味も素っ気もない単純な角材から作られている。そしてガラスも薄い,おそらく3mmのガラスが1枚入っているだけだ。こんな事から,このFANOファーノの街で泊まったルネサンス時代の館は、戦後しばらくして落ち着いた1950年代に改修され今の姿となったものだろう。
ここに泊まれば,窓のつくりから1950年代の空間を感じ取ることになり、建築空間が解った気がする。
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by kimiyasu-k | 2015-11-09 15:43 | Comments(0)