コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2017 02 18 木製サッシ
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青森県の十和田市で木製サッシ工場の建設に携わっています。
日本の住宅は、1970年代からアルミサッシが主流となり現在年間約150万本のサッシが作られています。ビニールクロスと並んで日本の現在の住環境の貧しさのひとつがこのアルミサッシにあります。当時,アルミサッシはモダンな建物の象徴としてもてはやされ,瞬く間に日本中の住宅に採用され,今ではサッシといえばアルミニウムが常識になっています。それまで隙間風が当たり前の職人の作る木製建具に取って変わって,大きな工場で押し出し整形される型材によって作られるアルミサッシは性能の点でも,コストの面でも圧倒的な強みで日本中を席巻しました。
それから半世紀も経ち、住宅に関する考え方も、気候も、それをとりまく技術も随分変化しました。言ってしまえば、家は壁と屋根と窓から出来ています。壁屋根に関しては随分、当時とは比較にならな程の仕様に性能アップがされました。それに対して、窓は精々ガラスが二重になった程度で、基本的には何ら手が入れられていないというのが現実です。世界的に見ても、これだけアルミサッシが普及している国は他に無く、サッシは木製が一般的です。窓の気密性や断熱性などの性能はさておき、現代の日本の街が「魅力ない」ことに、このアルミサッシが大きな要因となっています。蜘蛛の巣のように張巡らされた電線は誰が見ても一目瞭然なのですが、アルミサッシのもつ醜さが分かるためには少し建築に関する知識や体験が必要かもしれません。また屋内に関しても、金属のアルミがどれほど空間を壊しているか、慣れてしまっているだけで、障子などの昔の木製の建具の美しさを思い浮かべて、アルミサッシと比較してみれば想像に難くないかと思います。
日本にも確かに木製建具を製作しているメーカーは数多くありますが、どこも何方かと言えば職人的な工場で、工業化からは取り残されているのが現状です。一日の生産量は精々、20窓止まりというとこれでしょうか。ですから当然、価格はアルミサッシと比べれば飛んでもないもので、とても一般の人々が手を出せるものではなく、ごく一部の富裕層のためのものになっています。
三社程の独占的な企業が一日約5000本のアルミサッシを生産しているのですからそれと比べれば木製サッシの製造量がどれほど些細なものか納得できるかと思います。
性能的にも(アルミの3倍程度の断熱性能)、意匠上からも圧倒的に有利な木製サッシですが、今、十和田市に建設中の木製サッシ工場は、このようなアルミサッシとのコストの壁にも挑戦するものです。一見木の枠だけの木製サッシは単純なようですが、実際には非常に精度の高い木加工が必要ですし、また蝶番を含め様々な金物も決して一夜にしてできるものではありません。
十和田市の工場には木製建具では世界のトップを走るイタリアから製作機械をほとんど輸入しました。また木加工だけでなく、窓製造には塗装も非常に重要な役割を担っています。これにも吹き付けをロボット化した最新の塗装機械を導入しました。
このサッシ工場の生産量は、日産50窓と、サッシ市場全体からみれば決して大きな数字ではありませんが、この工場は言って見れば日本で初めて木製サッシを工業的に廉価に作る工場です。
最新技術といえば人工知能など訳の分からないものについては良く語られますが、一見完成した古い技術のサッシにも、まだまだ課題は沢山残されています。
残念ながら先進国の中では恥ずかしいくらい住環境、都市環境の貧しい日本の住宅を、一歩でも豊かにするためにこの工場が役立つ事を願います。
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by kimiyasu-k | 2017-02-18 15:37 | Comments(2)
Commented by funicolare at 2017-02-23 00:13
こんばんは。

我が意を得たり。
ぼくも、ブルーシートとアルミサッシは嫌悪感を覚える筆頭です。
十和田の工場、順調に稼働すればいいですね。

来日の際には、ぜひ富山にもお立ち寄りください。
3月までなら、カニが美味しいです。
Commented by kimiyasu-k at 2017-02-23 17:01
どうもコメントありがとうございました。
オリンピックもいいですけど、未来を考えれば日本の住環境を何とか良くすることに取り組まないといけないと思います。その一端でも担ってくれればと考えています。が、日本には他に無い工場はいろんな問題が山積みで、難しい限りです。
コモも良い季節になりました。湖畔のレストランも3月に入れば食事が楽しめます。声をおかけください。