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コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

4月4日 水曜日 雨のち曇り
事務所員のキアラに瓦棒噴きの屋根の図面を書いてもらうためにアルドロッシのモデナの公共墓地の写真をみせようと、彼の作品集を出してくる。キアラは本の中に、新聞の切抜きが挟まれているのを見つける。それは今から十年前1997年9月4日の、アルドロッシの死を知らせる記事だった。そこに十年前に切抜きを挟んでいたことを全く忘れてしまっていたのでおどろいた。キアラはミラノ工科大学の建築学科を昨年卒業した。ミラノ工科大学の建築計画教育は言って見ればアルドロッシの建築理論が頑なに教えられている。彼女たち若い学生には、それがたまらなく重い。高校を卒業するといきなりわけの分からないロッシの著書「都市の建築」を読まされる。ロッシがあまりに決定的なだけに彼女たち建築を志す若い者にとっては、ほとんど恨むべき(とはいえそれは弟子が師匠に反抗するような感覚だが)存在となっている。
10年前のあの日、一体自分がロッシの死をどのように受け止めたか、それがほとんど歴史の一ページが閉じられたような日だったかを彼女たちに話す。もし、25年前自分が日本でロッシのプロジェクトを見なかったら、今こうして一緒に仕事をすることもなかっただろうと。
by kimiyasu-k | 2007-04-04 21:28