コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2008 9月17日 くもり

d0104210_022041.jpgセバスティアーノ・バッサーリ,現代イタリア作家の書いた「cuore di pietra 石の心」という本を読んでいる。とりたてて有名な小説という訳ではないが、第一章が「建築家」という小タイトルで始まるので手にしてみた。バッサーリの小説はいくつか読んだ。その中でも「キメラ」というイタリアに来たころすぐ手にした本で、ルネサンス時代の「魔女狩り」をテーマにした小説は、思わずそのストーリーに飲み込まれてしまったのを覚えている。この「石の心」という小説もやはり時代もので、ストーリーは1900年代を背景にする。というより1900年代という時代そのものが主人公だ。一軒の家をストーリーの定点として、そこに住み、出入りし、何らかの係りをもった人々を各章ごと主人公として1900年代という時代そのものが語られて行く。このように書くと何となく焦点のぼけた詰まらない小説に思えるかもしれないが、また自分もそう思ったのだが、それが面白い。考えてみると1900年代というのは大きく社会が、人々の生活が変わった時代だ。その変化が小さなエピソードで語り繋がれていく。こんなにも当たり前の、というかごく普通の手法で、そのテーマも1900年代という近過去でありながら、こんなにも魅力的に新鮮に描いてみせるバッサーリの力量には感服するばかりだ。
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by kimiyasu-k | 2008-09-18 15:37 | Comments(0)