コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2015 07 31 コロッセオ
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EPSON R-D1xCOLORSKOPAR35mmF2.5
あまり知られていないけれども、ローマのコロッセオ建設にはこんな話しが言い伝えられている。AC70年、時の皇帝ウゾンシべアヌスは帝国の威信をかけてこの世で最大のコロッセオを建設しようと思い立った。これこそが自分の名前を後世に永遠に残す建築だと。そこでウゾシベアヌスは彼の友人である建築家オダタドンアウスを呼びつけた。ウゾンシベアヌスはもともとオダタドンアウスにこの世紀の建築設計を依頼するつもりは毛頭なかった。なぜなら彼の作る建築は大理石の奇麗な装飾もほどこさない、味もそっけもない煉瓦を積んだだけの建築であり、あまりに人間味にかけた冷たい建築で、一般の人々に受け入れられるものでは無かったからだ。もともとオダタドンアウスに目ぼしい建築家を集めて設計競技をさせるつもりだったのだ。オダタドンアウスは、また皇帝の気まぐれが始まった、どうせ自分が設計できるわけでもないコロッセオなんてどうでもいいけれども、下手な事をすれば命があぶない。ここは皇帝ウゾンシベアヌスの言うことを聞いて、自分とはあまりライバル関係にない建築家たちに計画案を提出させることとしよう、と考えた。2,3のローマの建築家と、あとは世界から名の通った建築家、そして女性も忘れてはいけない、あの辺境のドッディハハザもメンバーに加えておこう。彼女のつくる建築は全く自分の建築とは正反対で、落選させてはじをかかせてやろう。さて一体だれにこの仕事を与えて、恩をつくろうか。建築家オダタドンアウスは、他の建築家を選ぶなどという嫌なこの仕事を楽しむことに決めたのだった。
すべての計画案が出揃うと、皇帝も含めた選定の会が開かれた。そこには、かつて横暴な権力をふるっていたウロシヨリモヌスも姿を現せた。皇帝ウゾンシべアヌスも彼には頭があがらない。参加者がそれぞれの意見を述べだした。ウロシヨリモヌスは、その巨大な図体から、何とも下品な声で、「皇帝、これはもう皆で話し合う余地などありませんな。どうみてもドッディハザ‘のコロッセオが最も皇帝の威信を帝国の人民に訴えるすばらしい案です。どうですか、。オダタドンアウス。」建築家オダタドンアウスは、"何てことを言ってくれるんだ、よりにもよってあの辺境のドッディハザの時代遅れの案を気に入ってしまうなんて。"と思いながらも、「まさにウロシヨリモヌスのおっしゃるとおりです、皇帝。これはもう疑問の余地は全くありません、」と心ならずも言ってしまった。
ここで慌てたのは実際の建設事業の面倒を見なければならない、建設官のメンバーだった。あのドッディハハザの案は、一体実現可能なのか、もしできたとしてもとてつもないお金がかかり今のローマ帝国の財源ではとても建てることはできないのだ。いくらアーチ構造はローマが作り出したものだとは言え,あんな巨大なアーチは基点への荷重が大き過ぎてとても基礎をつくることができない。おまけにドッディハハザは辺境の建築家でラテン語さえ通じない。一体どうしたものか悩んだ建設官たちはローマの余り才能のない建築家達の組合,イケセンケッ二に相談を持ちかけた。イケセンケッニはこの手の仕事はお手の物とばかり、ドッディハハザの計画案に手を入れ出した。こいつはどうも様子が違う。こんなメチャクチャな設計ではとてもじゃないけど実現できない。だからこういう夢物語みたいな建物を考える辺境の建築家になんか、計画を頼むもんじゃない。我々のようなローマの建設事情のよく分かった建築家組合に頼むべきなんだ。まあ,良いか。どうせ,仕事はこちらに回って来るんだから。皇帝ウゾンシべアヌスの後押しもあるのだから。
そういうわけで、イケセンケッニ組合はもうほとんどドッディハハザの計画案なんぞは無視をして、なんとも様にならない、実施案をまとめあげた。ところが建設費の試算をしてみればなんと最初の2倍以上のコストななってしまっている。
金がかかればかかるほど俺の威信は発揮される。と皇帝ウゾンシベアヌスは民衆の前で,この世紀の大計画を発表した。
このところ、軍事力強化のために散財をしていたウゾンシベアヌスの政治は、民衆の支持を少しづつ落としていたところにこの、馬鹿げたコロッセオの建設計画を知らされたのだから怒らないわけは無かった。結局,それを支えるのは民衆であり、猛獣と人を戦わせたり,殺し合いをさせるこんな馬鹿げたコロッセオに、どうして自分たちが金をださねばならないんだ。
風往きのおかしくなってきたのを感じたウゾンシベアヌスは、その責任を建築家のオダタドンアウスに被せようとした。しかし老猾なオダタドンアウスは、自分の役目は,より威光のある計画をえらぶことであって、どうしてそんな建設費になるのか自分も知りたいと,怒る民衆の矛先をそらせてしまった。
つづく
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by kimiyasu-k | 2015-08-01 12:49