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コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2015 10 28 無題
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EPSON R-D1x NOKTON40mmF1.4
マンションの杭問題は、何となく担当者の「いい加減さ」という事で問題解決をしようとする感じが読み取れて,杭とはあまり関係は無いけれども,一応業界の事情を知っている建設に携わっている自分には何とも後味の悪い事のなりゆきだ。
何故か,マスコミがあまり騒がず,また人々も関心を示さなかったもっともっと、かなり酷い,ワーゲンの排ガス詐欺と同じような事件が他にもあった。
それはアルミサッシの防火認定データーの改ざんだ。数年前,大手アルミサッシメーカーのつくるサッシが実は防火認定のためのデーターが改ざんされていて、防火性能を有していないことが発覚した。東京などの密集地では,都市計画により準防火地域,防火地域などが指定されていてこの地域では、防火認定のされているサッシしか使う事ができない。ところが全ての大手アルミサッシメーカーは防火性能の無いサッシを防火認定品として販売していて、誰もその事に疑いを持たずに防火認定品として使っていた。だから2,3年前までに作られて全ての家は,防火地域にもかかわらず、防火性能を有していない住宅,非合法的な住宅という事になる。おそらくこの事は,住んでいる人も知らない。言ってみれば家を建てた人は,大手サッシメーカーに「騙された」事になる。このような事があれば車ならリコールということで何百万台の車に手をいれることになるのに、何故かアルミサッシを防火認定品と取り替えますというような話しは何処からも上がらない。
実際ことの成り行きはもっと酷いもので、この事が発覚した時点で,国はこのサッシの出荷をストップさせるどころか、1年以上に渡りこの非合法のサッシを使用する事を認めた。つまりあと一年間はこのサッシを防火認定品として使って良い,時間の猶予を与えるので、それまでに防火認定を取りなさいよという、寛大な措置にうって出た。もしこのサッシをすぐに使うことが出来ないとすれば、家の建設が全てストップしてしまうのは事実だ。それが経済にとって大打撃なのも事実だ。もちろんこれは杭問題とは異なり防火認定を取る部署にいた一人の責任ではなく、全てのメーカが足並みを揃えてやっていたのだから、構造的な問題という事になる。ここから見えてくるのは、結局、国と独占的大企業の「蜜月関係」で国民は蚊帳の外にいつも置かれる。このような産業の体質が、日本独特のものであることには留意していた方が良いと思う。大企業=正義みたいな固定観念はあまりに大人げない。

追記、ことの顛末は、防火認定を取ったアルミサッシの値段をそれまでのものの2.5倍につり上げることで、サッシメーカーはこの機会に更に利益を上げたという、もうここまでくれば開いた口が塞がらない。













by kimiyasu-k | 2015-10-29 15:10