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コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2016 06 12 ボルドーニャ家が借りて夏を過ごしていた家
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NIKON D3000 NIKKOR50mmF1.4
久しぶりに,数年ぶりにカヤックで少し遠出をした。ネッソ村から少し南の対岸の村,ラーリオに渡りそこからもうしばらく南下してカラーテウリオまで行った。久しぶりに湖から対岸の館をゆっくり見ればどの家も魅力に溢れている。このクリーム色の母屋に赤い連屋が付属する館には行った事があるような記憶がある。知人が夏の家として過ごしていたのはもう20年も前の事だった。モーターボートで家まで迎えにきてくれた知人は,まだあまり良く知らなかった周辺の湖畔の村を湖から案内してくれた。そのうち,風が吹き出したかと思うと,湖は白波が立つ程騒がしくなり,ボートにしがみついていたような微かな記憶が蘇る。当時,知人は彼女とこの館で夏休みを過ごしていたけれども,そしてその彼女と結婚する筈だったけれども結婚直前に,彼女は他の男のところに走った,などという噂も耳にした。建築というのはこんな風に,そこで起きた出来事を,ずっとずっと記憶していくひとつの装置でもある。だからこの家には一体どれだけの記憶が蓄えられているのか,想像することすらむずかしい。それを壊してしまえば,ここに蓄えられた記憶も,一緒に霧散してしまう。そんな当たり前の事に気づかずに,20年もすれば建築をどんどん壊して,新しい建物を作り続けていくのは愚かとしか言いようがない。それとも日本は忘れてしまいたくなるような過去しか持たないとでも言うのだろうか。















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by kimiyasu-k | 2016-06-14 06:47