コモ湖畔の書斎から dalla finestra lariana

2016 06 22 旅情
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SIGMA PD-2F2.8
仕事で出掛けたパドバの街。街の中に一人で泊まることになった。こんな時は食事などはなるべく簡単に済ませるようにパニーニでもかってホテルの一室で食べてしまうのが普通だけれども、なんとなくあまり縁のない「旅情」を味わう事にした。ホテルの受付でどこか「一人もの悲しく」食事ができるところは無いかと聞けば、うってつけの昔ながらの地方料理を食べさせる食堂があるという。そこは宿泊所のすぐ裏手にあった。昔、ユダヤ人の居住区ゲットーだったこの一角は、どこか建物も控えめで,小さなオーダーの列柱アーケードがとても親密な空間を生み出していた。レストランはどこかとしばらく行けば小さな路地の角に絵に描いたように控えめなこの店があった。外から中の様子はほとんど見えない。一瞬,どうしようかとためらったけれども思い切ってドアをあければ中は思っていた通り楽しそうに食事をする人で一杯だった。コックの姿をした主人がよってきたので,空いた席はないかと聞けば,「一人か」と聞き返してきた。今はないけどあと30分もすれば席が空くと言う。もうしばらく街をぶらついてやっぱりここで食事をすることにした。
街をまた一周ぶらつきレストランに戻れば小さな店のど真ん中の2人席が空いている。大体,独りで食べる客は,店の片隅にどうも申し訳ありません,てな風情で目立たない一角を占めるものだけれども,あの席では,店の主人公,まるで貴賓席では無いか,などと思いながらも席についた。
しばらくするとボーイが水を持ってやってくる。何故か水が瓶の中で凍ってしまっている。それでも一杯注いだあと、この水は冷たすぎる、今取り替えるからと言う。
お目当て通り、レストランと違ってオステリア、お食事所と名の付いたこんな小さな食堂にはこの地方の料理がある。内陸とはいえベネチアに近いパドヴァには魚料理がある。それもイワシのような庶民の食べる魚の料理が。SARDINE IN SAORという甘酢のタマネギと合わせたイワシを前菜に、そして昔風に料理した牛の胃袋、トリッパを頼んだ。ひとりだと話しをしながら食べるわけじゃあ無いから、「本気」で食べれば5分もあれば一皿終わってしまう。でもそれじゃあ余りに味気ないから、無理にフォークとナイフをテーブルの上に一度置いたり、別に興味もないけれども隣のテーブルに座る人達の会話を盗み聞きしたり、給仕さんと無駄話をしたり、なんとなく一人旅の「達人」のような振りをして、「もの悲しい」旅先の一人の食事を楽しんだ。もう30年近くイタリアに居るのに、考えてみればこうして一人でレストランで食事をするのが初めてな事に驚いた。


































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by kimiyasu-k | 2016-06-23 00:49